発見 3億年前のサメの歯の化石(2019/6/13~8/31)

発見 3億年前のサメの歯の化石

糸魚川市の青海川で発見された化石が、3億2千万年前のサメの歯であることがわかり、青海石灰岩のサメの歯化石として初めて学名が付きました。青海石灰岩の肉眼サイズのサメの化石として初めての発見です。
今回見つかった化石は、軟骨魚類ペタロドゥス科のサメ(?Petalodus sp.)の、顎のほぼ中央の歯と考えられます。歯の化石の大きさは、歯冠の幅9.6mm、歯冠の高さ4.7mmです。歯の大きさから、体長はおよそ45cm前後であると推定されます。
2.今回見つかった化石の時代については、化石発見地周辺の石灰岩の時代がおよそ3億2千万年(古生代、後期石炭紀バシキール期)であることから、この化石の時代も3億2千万年前であると考えられます。

発見の経緯

  1. 今回の化石は、平成29(2017)年6月17日に、新潟県糸魚川市の青海川下流の崖下で、新潟市在住の真鍋高宏さん(34歳)により採集されたものです。
  2. 古生代の軟骨魚類化石研究の第一人者である鶴見大学名誉教授の後藤仁敏博士(72歳)に今回の化石を見ていただいたところ、軟骨魚類ペタロドゥス科(サメ)の歯の化石であることがわかりました。
  3. 平成16(2004)年に糸魚川市小滝の土倉沢石灰岩からペタロドゥス科ペタロドゥス属の歯の化石が見つかっていますが、今回の発見は糸魚川市の黒姫山周辺に分布する青海石灰岩から発見されたもので、青海石灰岩からペタロドゥス科の化石が見つかるのは初めてのことです。
  4. 平成28(2016)年、当時筑波大学の大学院生だった高橋唯さん(現:室戸ジオパーク地質専門員)により、青海石灰岩から微小な軟骨魚類や硬骨魚類の化石が発見されていますが、学名など詳細はわかっていません。今回の発見は、青海石灰岩からの、目で見えるサイズのサメの歯化石として初めての発見です。

★青海石灰岩とは
青海石灰岩はおよそ3億年前のサンゴ礁がもとになってできたもので、これまでの約100年にわたる研究により、サンゴ、ウミユリ、三葉虫、二枚貝、巻貝、腕足類などの化石が確認されています。これらの化石から、青海石灰岩は今から約3億3千万年~2億6千万年前(古生代石炭紀からペルム紀)にできたことがわかっています。

★専門家のコメント - 後藤仁敏先生(鶴見大学名誉教授)より -
「これまでに糸魚川市の土倉沢石灰岩からサメの歯化石が発見されていたが、より規模が大きい青海石灰岩からもサメの歯化石が発見されたことから、今後さらに多くの化石が発見される可能性が高く、発見の意義は大きい。
今回の歯化石は保存が悪いが、今後、さらに保存のよい化石が発見されることを期待したい。」