チバニアン

―日本の地名が初めて地質(ちしつ)時代の名前に―

2020年1月17日、国際(こくさい)地質(ちしつ)科学連合が、今から約77万年~12万6千年前の地質時代をチバニアン(千葉時代)と()ぶことに決定しました。千葉県市原(いちはら)市にある地層が国際(こくさい)標準(ひょうじゅん)模式(もしき)地となります。
市原市の地層が選ばれたのは、地層の年代の境界(きょうかい)となる地磁気(ちじき)逆転(ぎゃくてん)現象(げんしょう)がよく記録されているためです。

チバニアンの露頭(ろとう)

地質(ちしつ)時代表。チバニアンは、新生代第四紀更新世(こうしんせい)の中期にあたります。

国際標準模式(こくさいひょうじゅんもしき)地(GSSP)とは?

地層(ちそう)には、時代ごとにジュラ()や白亜紀などの名前が付いています。これらの地層の時代の境界(きょうかい)が最もわかりやすい場所として認定されるのが、国際標準模式地です。
国際標準模式地は世界に1か所だけであり、認定(にんてい)されると金色の(くい)(ゴールデンスパイク)が露頭(ろとう)に打ち()まれます。日本にこの金色の杭が打ち込まれるのは初めてのことです。

引用:地質学雑誌 121巻(2015)3号 p.I-II
口絵 ジュラ系基底の国際境界模式層序・位置(オーストリア,クーヨッホ)
三上 禎次, 石田 啓祐, 佐藤 峰南, 尾上 哲治, 鈴木 寿志

地磁気(ちじき)逆転現象(ぎゃくてんげんしょう)とは?

コンバスの(はり)は、北極側にN極、南極側にS極が引き寄せられます。これは、地球が大きな磁石(じしゃく)のように磁場(じば)を帯びているためですが、長い年月でみると地球の磁場は度々(たびたび)反転(はんてん)していることがわかっています。
地層の中には磁鉄鉱(じてっこう)という磁石に付く鉱物が含まれていることがあり、この磁鉄鉱の磁場を調べることで、過去の地球の磁場について調べることができます。
山陰海岸(さんいんかいがん)ユネスコ世界ジオパークにある兵庫(ひょうご)豊岡(とよおか) 市の玄武洞(げんぶどう)は、この地磁気(ちじき)逆転現象(ぎゃくてんげんしょう)が世界で初めて発見された場所として有名です。1929(昭和4)年に、京都大学の松山(まつやま)基範(もとのり)博士が発見したため、その功績をたたえて、現在までに最後の地磁気の逆転現象の時期(249万~72万年前)を松山逆磁極期(ぎゃくじきょくき)と呼んでいます。

玄武洞(げんぶどう)