糸魚川産ヒスイが第三回地質遺産100選に選ばれました 概要 新潟県糸魚川地域の「Itoigawa Jadeitite(糸魚川のヒスイ輝石岩)」が、国際地質科学連合(IUGS)の第三回世界地質遺産100選(The Third 100 IUGS Geological Heritage Sites)に選定され、IUGSの地質遺産に認定されました。国石「翡翠(ヒスイ)」の代表産地である糸魚川の地質学的価値が、国際的に認められたことになります。 日本鉱物科学会による国石選定から10年の節目に、代表的なヒスイ産地が世界の地質遺産として位置付けられました。 世界地質遺産100選について IUGSの世界地質遺産は、国際的に高い科学的価値を持つ地質学的な特徴や現象が見られ、世界の研究の基準となる場所や、地球科学の発展に大きく貢献してきた場所を認定するものです。 2022年に第一回、2024年に第二回が発表されています。日本からは、第一回に「玄武洞(兵庫県)」と「野島断層(兵庫県)」、第二回に「喜界島の隆起サンゴ礁(鹿児島県)」と「平成新山(北海道)」が選定されています。 2026年の第三回世界地質遺産100選は、2026年11月にポルトガルのアルガルヴェ地方で開催されるIUGSの地質遺産関連イベントで公表されました。 日本からは、「富士山(富士火山)(静岡県・山梨県)」、「第一鹿島海山(日本海溝)」、「海溝―海溝―海溝型三重会合点(房総半島東方沖)」が糸魚川のヒスイと同時に選定されています。 糸魚川産ヒスイの学術的意義 ヒスイ(ヒスイ輝石岩)は、ヒスイ輝石を主成分とする岩石です(図1)。プレートの沈み込み帯の地下深部で、水に富む流体からの鉱物の晶出や、流体と岩石の反応によって形成されます。宝石としての美しさに加え、地下深部で水や元素がどのように移動し、鉱物が生まれるのかを記録している点に、学術的な価値があります。 糸魚川のヒスイは約5億年前に形成されたと考えられており、古い沈み込み帯の活動を知る手掛かりとなります。また、ヒスイを含む岩石から糸魚川石や蓮華石などの新鉱物が見いだされており、多様な鉱物の形成を理解するうえでも重要です。 また、糸魚川のヒスイは約6,500年前の縄文時代前期から敲石(ハンマー)としての利用が始まり、約5,000年前の縄文時代中期からは大珠(ペンダント)として糸魚川でのヒスイ加工が始まりました。これは世界最古のヒスイと人間の関わり(ヒスイ文化)と考えられており、今回の選定においても評価されました。 地質遺産の保全と教育普及 糸魚川では、糸魚川ユネスコ世界ジオパークの活動を通じて、ヒスイをはじめとする地質遺産の価値を守りながら活用する活動が行われています。ヒスイ産地と、縄文時代から続くヒスイ利用の歴史を未来に残す活動進めることで、地質遺産を次世代に引き継いできます。 推薦の経緯 第三回世界地質遺産100選への「Itoigawa Jadeitite(糸魚川のヒスイ輝石岩)」の推薦は、日本学術会議地球惑星科学委員会地球惑星科学国際連携分科会IMA小委員会が行いました。IMAは国際鉱物学連合(International Mineralogical Association)の略称です。 国際出版物への掲載 今回の認定(図2)に伴い、糸魚川のヒスイを紹介する解説が、IUGSの出版物『The Third 100 IUGS Geological Heritage Sites』に、Site 278として掲載・出版される予定です。 Ogawara T., Koike Y., Tsujimori T., Morishita T., 2026, Site 278: Itoigawa Jadeitite, in The Third 100 IUGS Geological Heritage Sites. International Union of Geological Sciences, Zumaia, Spain, p. 212–213. 博物館でのミニ展示 フォッサマグナミュージアムでは、11月7日より常設展の第一展示室内において選定証(コピー)を含む「第三回IUGS地質遺産100選」のミニ展示を実施します。 問合先 フォッサマグナミュージアム 025-553-1880 【図1】糸魚川のヒスイ 【図2】第三回世界地質遺産100選の選定証